早舩煙雨(Twitter: @ennu_hayafune): Haiku and notes, 自由律俳句
加藤知子 句集『情死一擲』より
特に戦争に関する句群には、紙や文字から熱が湧き上がってくるような感覚があった。
冬銀河輪投げのように逝くことも
すいかずら諸手をあげて椅子を捨つ
ひとだまの匂い葡萄を吸うしぐさ
小春日や事あいまいに逢いましょう
冷戦年表継ぎ足す乳房重かりし
人間を狩る冷蔵庫灯るべし
首筋に情死一擲の白百合
夕薄暑どの風向きも異教なる
白百合の背骨重低音に疼く
魂洗う水の繊きに雁渡
一色ずつ虹をはがせば火傷痕
雪山の頭が解けて母のどこが母
神さびの白菜二枚剝ぐ防人
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